安心・安全・ゆとり・美観が大きく変わる 郡山市の玄関口にふさわしい大町エリア

東西南北へ活動範囲が広がる
広域アクセスの拠点としての”防災コンパクトシティ”郡山市

郡山市は福島県のほぼ中心に位置し、「経済県都」とも呼ばれる中核都市。郡山駅は、東北新幹線、JR東北本線、JR磐越東線、JR磐越西線、JR水郡線といった鉄道・一般道路・高速道路の結節点で、福島空港に隣接するなど、交通アクセスに優れていることから、「広域交流中核拠点」として位置づけられている。また、2020年7月には、防災コンパクト先行モデル都市に指定され「流域治水」の考え方も踏まえるとともに、南北と東西2つの交通軸がクロスする交流拠点として、安全安心な「防災コンパクトシティ」を目指している。

再開発事業で着々と進化してきた
郡山中心市街地・駅前エリア

福島県の経済県都、郡山市の交通の中心にあるJR郡山駅。しかし、車社会の発展、郊外のロードサイドなどカーアクセス型商業施設の整備・発展、消費者ニーズの多様化により、郡山市の中心商業地だった駅前エリアから郊外へ人が流れる傾向が見られ、郡山市は、都市の顔である郡山駅周辺の拠点性、中枢性を高めるために、着々と都市計画を進めてきた。 1998年(平成10年)には、「郡山市中心市街地活性化基本計画」(計画期間10年)が策定された。1999年(平成11年)、JR郡山駅から南西約500メートルに位置する中央商店街の一角、中町において「中町第一地区第一種市街地再開発事業」が竣工。中町再開発ビル(地下1階から10階までがうすい百貨店、10階の一部に一般市民が利用できる多目的ホールを設置)を核として、建物の壁面を道路及び民有境界から後退させることで広い空地を設け、南のフロンティア通りと一体で都市景観の向上を目指し、植栽やストリートファニチャーなどを配し、潤いと安らぎを感じさせる都会的な景観が広がった。また、2001年(平成13年)には「郡山西口第一種市街地再開発事業」が竣工。

駅前の再開発複合ビル「ビッグアイ」が竣工し、西口駅前広場の整備、バスプールの設置により、交通拠点機能が大きく向上。新たに確保した中央広場は、市民や来訪者の憩いの場、イベントの場として活用されている。2006年(平成18年)には、郡山駅前大通りシンボルロードが完成。2011年(平成23年)に「郡山駅前一丁目第一地区市街地再開発事業」が竣工するなど、駅前・中心市街地機能を活性化する規模の大きい事業が次々と進められてきた。

地元に親しまれ愛されてきた
『大町土地区画整理事業』エリア

そして、現在施行が進められている土地区画整理事業が、JR郡山駅西側に隣接し、都市計画道路「日の出通り線」を中心とした約2.16ヘクタールに及ぶ「大町土地区画整理事業」だ。この事業の背景や目的、また今後JR郡山駅周辺、中心市街地はどう変わるのかについて、郡山市都市整備部区画整理課主任で土地区画整理士の菅野浩平さんに話を聞いた。(お話はすべて菅野さん)

「郡山市は、江戸時代後期は奥州街道の宿場町として栄え、明治から昭和にかけて東北有数の商業都市として発展してきましたが、当時から郡山駅舎には全ての生活必需品、食材などの物資が集まってきていました。『大町土地区画整理事業』の施行エリアを東西に貫く、都市計画道路『日の出通り線』は、当時駅舎へ向かう貨物車が通っていた歴史から、今も親しみをもって「貨物通り」と呼ばれています。そして、国鉄で働く人、貨物の荷下ろしをする人たちが仕事帰りに飲んで仕事の疲れを癒す場でもありました。宿場町で商業地、飲食街、そういった歴史、昭和の雰囲気を感じさせる面影がいまだに残っているエリアです。多くの人に愛されたお店も多くあり、その持ち味を生かして生活されてきたわけですから、まち全体に懐かしさやあたたかさを感じることができています。その一方で、JR 郡山駅に隣接している立地にも関わらず、老朽化した低層木造住宅が多く、都市機能が低下しているとも言える状況でした。歴史があるまちなので、道路の字型は格子状に存在していますが、未整備の街路が多い状況であり、いままで各商店街の方々がお金を出し合ってつけてくれた街灯も、時代の流れもあって暗い印象が否めないとの声もあります。そういったことを解決するために、公共施設の整備改善と宅地の利用増進を図っていく『大町土地区画整理事業』が平成17年からスタートしました。」

菅野 浩平さん

郡山市 都市整備部 区画整理課主任・土地区画整理士

道路が広がり2車線通行に
車と人の流れが変わる

『大町土地区画整理事業』は、どのように進められてきたのだろうか。「郡山市の玄関口にふさわしい市街地の形成が目的です。今までのコミュニティを守りながら土地の区画形質の変更というしくみを使って、主に今ある道路の拡幅、歩道や公園の整備といった公共施設の整備・改善、そして土地の利用増進を促し、その効果としてまちの活性化に寄与されると考えています。土地の権利者さんから減歩(げんぶ)の形で土地を負担していただき、その土地を使って道路を広げ、公共施設が整備されると、路線価が上がり、土地の価値が上昇します。今後、土地の利用が増進され、どんどん更新されていくと思います。また道路が広くなり、これまで一方通行だった車道が片道1車線の相互通行になるため、車の流れが変わることも予想されます。昔から映画館や人気のホルモン屋さんや焼き鳥屋さん、喫茶店などがあり、もともと持っている商業ポテンシャルは高いものがありました。そこに新たな建物ができれば、人の流れも変わり、結果として、市街地の他のエリアとの回遊性が促進されるのではないかと思っています」

バリアフリー、無電柱化、防災
安全・安心なまちを目指して

区画整理事業によって人と車の流れが変わり、建物が新しくなり、景観が更新されることは想像できるが、同時に安全面にも重点が置かれている。「このエリアは『郡山市バリアフリー基本構想』でバリアフリー重点整備地区として位置づけられており、誰もが円滑に利用できるユニバーサルデザインが導入され、点字ブロックの整備、歩道のバリアフリー化で、人に優しい安全な道路として整備されます。さらに、電線の地中化が行われるため、災害に強いインフラが整備されるとともに街並みがスッキリと歩きやすくなります。また、防火地域ですから、木造建築物も耐火性、不燃化を誘導し、高い耐火基準で建てられます。現在、道路下にある防火水槽は、東日本大震災のときに役立ったため、残してほしいという声があるため、設置場所を検討しています」。細かい計画は協議中で、未定部分も多い。「権利者さんのご協力なしには、進められない事業です。令和7年度の完成を目標にしていますが、多くの権利者・市民から早期完成への期待の声が寄せられています。昔から独特の魅力があり愛されてきたまちですが、これから建物が再整備され、防災、防犯 を含めた安全性が大きく改善されることで、より生活しやすい、活力のあるまちになっていくと思います。生まれ変わる新しい大町エリアにどうぞ期待してください。」

[DATA]

大町土地区画整理事業
施行者/郡山市
事業計画決定/平成17年12月2日
地区面積/約2.16ヘクタール
施行期間/平成17年?
HP
https://www.city.koriyama.lg.jp/soshikinogoannai/toshiseibibu/kukakuseirika/gomu/2/1/4376.html

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