定禅寺通りに根ざし半世紀の文化芸術拠点

画像提供:東京エレクトロンホール宮城

文化芸術を通して
県民の心豊かな暮らしの実現を
目指しています

(左)企画事業課 企画事業係長 藤原康輝さん
(右)企画事業課 企画事業係 佐々木美帆さん

半世紀の歩みを未来へつなぐ身近な文化芸術の発信拠点

宮城県民会館50年記念誌表紙
画像提供:東京エレクトロンホール宮城

東京エレクトロンホール宮城、正式名称は宮城県民会館。昭和39年9月に宮城県の文化芸術活動の拠点施設として開館し、平成26年に50周年の節目を迎えた。今年52年目。特に仙台っ子にとっては、学校行事や発表会、コンサート、演劇鑑賞など、幼少時からなじんできた思い出があるホールだ。仙台市中心部に位置する東京エレクトロンホール宮城の役割、目指す未来は。企画事業課企画事業係長の藤原康輝さんに話を聞いた。

地域の支えで歩んだ52年

画像提供:東京エレクトロンホール宮城

昭和37年10月、老朽化した宮城県労働会館が廃館になり、翌年1月に建設工事が始まった宮城県民会館は、当時きわめて近代的な建物だったという。座席数1732席(現在は1590席)、1階から5階まで吹き抜けの大ホールは宮城県最大規模。客席の一部に、ウィーンのオペラ座をまねたフライングギャラリーという突き出た構造を採用した。また、売店、コーヒーショップなどの施設も充実し、文化施設としてのみならず、県民の憩いの場であり、結婚式場として使用されたこともあったという。

しかし52年の歴史のなかで、宮城県沖地震、岩手・宮城内陸地震、東日本大震災と3度にわたる大きな地震を経験し、そのたびに大きな改修工事を施してきた。また、経年劣化や新しい時代のニーズもあり、平成元年から2年かけて全面改修を実施。音響照明、デジタル化、給排水管全取替工事、室内内装の一新を行っている。さらに、平成29年1月5日〜4月30日は閉館して、照明のLED化、空調関係の更新、防災監視盤といった改修工事を行い、5月にリニューアルオープンする予定だ。

震災後やむをえず休館した時期、数回にわたる大幅な改修工事を経て、多くの人の努力と支援、期待に支えられ現在にいたっている。

会館が目指す3つの事業方針

画像提供:東京エレクトロンホール宮城

 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)は、平成18年度から指定管理者制度を導入した。公益財団法人宮城県文化振興財団、株式会社東北共立、陽光ビルサービス株式会社の3社がジョイントベンチャーとして、宮城県から指定を受け管理・運営を行なっている。事業を実施するに当たって3つの基本方針があるという。

1つめは文化・芸術による震災の復興支援だ。被災者を自主企画に招待したり、ホール内にとどまらず被災地での朗読講座、ゴスペルのワークショップなども多数行ってきた。また、宮城県警音楽隊の協力で、避難訓練を兼ねた避難訓練コンサートも行っている。

2つめは文化芸術による人材育成支援事業。一例として文化の日前後に行なう「みやぎアートファミリアの日」がある。子供の頃から文化芸術に親しむ機会を作ることをテーマに、全館を開放。一般公募による大ホールでの演奏会や、子ども向けの人形劇、折り紙のワークショップ、縁日などを行なう。 

上 アウトリーチ風景
右下 みやぎアートファミリアの日

3つめの地域・大学等連携支援事業としては、定禅寺ストリートジャズフェスティバルとの連携などがあり、地域に開かれた開館を目指している。

 文化芸術を鑑賞する機会として、ここ数年、2、3年に一度、劇団四季の大型ミュージカルの長期公演が継続して行われてきた。ほかにも、仙台フィルや仙台オペラ協会の公演、洋舞公演など、宮城らしいステージが行われてきた。

「貸館料金は、指定管理者として条例で定められている料金にもとづいているため、会議室などは一般サークルの方も気軽に利用できる料金になっています。また3階のミーティングカルチャールームは、登録団体が少人数で簡単な打ち合わせなどを無料でご利用いただけます」と藤原さん。文化芸術を鑑賞する機会のみならず、文化活動に気軽に、便利に参加・活動する機会を提供してくれる施設でもある。「これからも文化芸術を通じて、被災者の心の支援、未来を担う子どもたちの育成を進め、地域から親しまれる会館を目指したい」と、結んでくれた。

スタッフおすすめの定禅寺通スポット

毎朝夕、定禅寺通を散歩気分で歩いて通勤しています。5月の青葉祭りの頃の新緑が一番好きですが、冬の光のページェントも楽しみです。ランチスポットはたくさんありますが、よく行くのは「cafe Berry 3」。手作りにこだわったヘルシーでやさしい味の料理が味わえます。実は、定禅寺通から一歩入った所にも素敵なカフェや穴場のいい店があります。男性スタッフのおすすめは、会館の2階にある中華料理店。ボリューム満点で美味しい五目あんかけ焼きそばが人気です。(佐々木美帆さん)

今年の催しの目玉『松竹大歌舞伎』

画像提供:東京エレクトロンホール宮城

平成29年の大きな催しとして、7月5日(水)に、中村芝雀改め五代目中村雀右衛門の襲名披露公演となる『松竹大歌舞伎』を開催する。松竹歌舞伎は、宮城県民会館の主催事業として、開館当時から、休館した時期を除いてほぼ毎年行ってきた。出演は、中村吉右衛門、中村雀右衛門、大谷友右衛門、中村又五郎ほか。時代物の大作『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿ほかを演じる。常連の方に加えて、最近は大学生など若い人の鑑賞も増えているという。初めてでも歌舞伎は楽しめるのだろうか。「松竹大歌舞伎公演に先駆けて、7月2日(日)に、プレセミナーを開催します。講師に元NHKアナウンサーの葛西聖司先生を迎えた、初心者向けの入門講座で、歌舞伎の基礎知識や今回の演目の見どころをわかりやすく解説していただきます。また、当日はロビーでイヤホンガイドの貸出もあります」と藤原さん。イヤホンガイドは、あらすじや時代背景、衣裳、道具、演目独自の約束ごとなどを、舞台の進行に合わせて説明してくれるので、初心者にとって心強い味方だ。

また12月には昨年に引き続き、笑いの芸術『野村万作・萬斎 狂言公演』を予定している。公演前にはプレセミナーも開催予定だ。歌舞伎や狂言は、もともと庶民から生まれ、日本人が作ってきた文化であり、共感するものがあるはずだ。この貴重な機会に足を運び、実際に生のステージでその魅力を体感してみては。

【松竹大歌舞伎公演 前売り券発売中】
日時:平成29年7月5日(水)昼の部 13:30開演、夜の部 18:00開演
場 所:東京エレクトロンホール宮城 大ホール
演 目:『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿、襲名披露『口上』、『太刀盗人』
入場料:S席 6,500円/A席 5,500円/B席 4,500円/C席 1,000円
問:東京エレクトロンホール宮城
  電話022-225-8641
  インターネット販売
  http://miyagi-hall.jp/playguide/

【松竹大歌舞伎 プレセミナー】
日時:平成29年7月2日(日)14:00〜15:30
場所:東京エレクトロンホール宮城 601会議室
講師:葛西聖司さん(アナウンサー・古典芸能解説者)
参加費用:500円

[DATA]

東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
仙台市青葉区国分町3-3-7 Tel.022-225-8641

■営業時間

9:00~21:00

■休業日

第2水曜、12月28日〜1月4日

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