だしを信用しきって日本料理をつくる。

だしを信用しきって
料理を作ります

店主の佐々木矢香さん(左)と佐々木宗治さん(右)

きちんととっただしと
厳選した旬の食材で作る日本料理

清潔に整えられた店内

定禅寺通沿いの『イシイの甘栗』の隣にある小さな階段を昇った一番奥にある隠れ家的な店『こうめ』。昆布とかつお節と水で丁寧にとっただしと、直接仕入れた旬の食材で手作りした日本食を出す店だ。

日本人の感覚に合う「だし」

「女性が一人で来られる店を作りたい」と、佐々木夫妻が2016年3月にオープンした『こうめ』。カウンターと腰板は、DIYが趣味の佐々木宗治さんが、南三陸町志津川の丸平木材の南三陸杉を仕入れて手作りした。床の一部に無垢材を貼り、壁は珪藻土を夫婦で塗るなど、自然のものをふんだんに使った店内で作る料理も“自然派”。だしを基本に旬の天然食材を合わせた、日本人の感覚に合う和食を出す。>

包丁をにぎる佐々木紗矢香さんは「だしがないと料理ができないくらい、だしを信用しきって料理をしています」と話す。だしを大切にすることは、独立前に働いていた店の親方の料理から学んだ。「以前は、醤油、砂糖、みりんで味をつけるのが当たり前と思っていましたが、親方の料理はきちんととっただし、醤油か塩を少し加えるだけ。最低限の味付けでとても美味しくて。これが料理なんだ、今まで私がやってきた仕事は何だったのだろう」と目が覚めたという。

毎日だしを”きちん”ととる

尊敬する師匠のやり方に習い『こうめ』では、北海道産の真昆布と宮城県産のかつお節の一番だしだけを使い、毎日だしをとる。

「最高級の昆布を使うとか、特に変わったことはしていません。一定の温度を保ってタイマーをかけて30分間~1時間煮出すだけです。温度、昆布の量に気をつけてだしをちゃんととると全く味が違います」。そうして、昆布のうま味が引き出された風味のいいだしができる。

フランス料理などの西洋料理は、ソースにこだわり、食材に様々な味を加えて完成させる「足し算の料理」と言われるが、和食は素材の一番美味しい時期の、素材本来もつ美味しさを生かす「引き算の料理」だ。考えてみると、和室、茶道、華道などの日本古来の文化には、”足す“より”引く“ことで良さが際立つものが多い。

「だしが食材の味を引き出してくれる。だしに薄口醤油や濃口醤油を少したらすだけで、美味しいと言ってもらえる。そこが和食のすごいところだと思います(宗治さん)」。

のびのびと育ったわんぱく卵

食材は、佐々木夫妻が週に2、3回農家に直接足を運び、生産者と会って納得した食材を直接取り寄せる。食材選びは、職人の話から情報を得たり、食べ歩きで探す。夫妻共通の趣味はバイクで、ツーリングに出かけた先で美味しい食材を見つけることもあるという。

『こうめ』の料理は旬の食材が基本なので、看板メニューといったものはない。通年のメニューは、卵、豆腐、豚肉を使った料理だ。

例えば卵は、山形県鶴岡市の『わんぱく農場』の平飼い卵。卵は黄身が鮮やかなほど美味しいと思われがちだが、オレンジがかった黄身は養鶏場で飼料に色素を入れていることも多いという。『わんぱく農場』の卵は、鳥海山からの伏流水、無農薬の野菜などビタミン・ミネラル豊富な飼料を食べて、昼は外で伸び伸びと遊ばせ、夜は屋根のある納屋に入れて、ストレスなく育てた鶏の卵だ。黄身は白っぽく、箸で持てるほど張りがあり、爪楊枝を30本位指しても割れない。『だし巻き卵』は、だしと『わんぱく農場』の卵と少しの醤油を合わせるだけだが、卵のうま味が強く、濃厚な味わいだ。茶碗蒸しも同様、だしに薄口醤油を少々、蟹など旬の食材を加える。だしは卵が固まるギリギリまでたっぷり加えるため、スープ感覚のとろりとした味わいだ。

素材本来の味を生かした料理

豚肉は、宮城県登米市迫町、伊豆沼農産の『伊達の純粋赤豚』を使用している。純粋豚のしもふりレッドを純粋交配させたもので、きめ細かくしなやかな赤身と甘みが強い脂が特徴。『赤豚の角煮』は、だしと醤油、スパイスを加えて圧力釜で煮込んでひと晩おいたものだが、ボソボソにならず柔らかで、最小限の味付けでも甘い。一緒に煮込む大根の甘みも味付けのひとつだ。

ほかにも、こだわりの食材がある。豆腐は、国産大豆にこだわった仙台の豆腐店『兎豆屋(とまめや)』の県内産ミヤギシロメ大豆100%の完全手作り豆腐を使用。甘みがあり、湯豆腐、冷奴にすると美味しい。青くささが苦手で豆腐嫌いだった紗矢香さんも、兎豆屋の豆腐は食べられるという。しいたけは、泉ヶ岳の湧き水と自然の木の栄養素だけで完全無農薬で栽培される『根白石の熊谷さんの原木しいたけ』。肉厚で深みのある味で、オーブンで焼くだけで美味しい。名取市の『三浦農園のせり』を使ったせり鍋、宮城県産高性能玄米『金のいぶき』の醤油味のおにぎり、山形県の紅大豆など、いずれも自然の恵みを大切に無農薬、伝統の製法にこだわった食材を使っている。「小さい店だからこそ、味噌も自家製で仕込んだものを使いたい」と、味噌を仕込んだが、今後は麹も料理に取り入れたいという。

4月は山菜料理、カツオなどの刺し身がおすすめだ。平日は女性限定で『レディースセット』を用意している。唐揚げ3個、本日の小鉢3品、ドリンク(生ビール、ワイン、ハイボール、日本酒、ソフトドリンクから選択)で1500円とお手頃だ。女性好みの、身体に優しい本格的な日本食を堪能してみては。

[DATA]

こうめ
仙台市青葉区立町26-17 小野ビル203 Tel.022-738-8174

■営業時間

18:00~23:00

■休業日

水曜

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